所得税を計算するうえで、事業所得や不動産所得、雑所得は収入-必要経費でその年の所得を計算します。
必要経費があればあるほど所得は少なくなり、納める税金も少なくなります。
では、必要経費とはどのようなものを指し、どの範囲で計上ができるのでしょうか?事業所得・不動産所得・雑所得の必要経費の範囲についてみていきましょう。
目次
必要経費の基本的な考え方
原則として、必要経費は次の2種類に限られます。
- 収入に対応する売上原価や収入を得るため直接に要した費用
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
(所得税法37条)
つまりここでポイントとなるのはその支出が「仕事で必要だったか」ということです。
例えば仕事上の打ち合わせで必要な飲食代は会議費等で経費にできますが、友人との単なるランチでは経費にすることはできません。(所得税法45条)
プライベートと仕事が混ざった支出
また、個人事業主では仕事兼プライベートの支出がよくあります。
例えば自宅を仕事場にしているデザイナーの自宅の家賃についてはどのように取り扱えばよいのでしょうか?
この場合は青色申告をしている人であれば、仕事の上で必要である部分を明らかに区分するなら、その部分は必要経費として計上してよいことになっています。
上記のデザイナーの家賃の場合、自宅全体の面積と仕事に使っている部分の面積を按分して計上する場合が多いです。
例えば自宅全体が50平米で、仕事にのみ使っている部分が占めるのが5平米であれば、自宅家賃の10%を経費として計上することになります。
(法令の根拠:所得税法37条、45条、所得税法施行令96条、所得税基本通達45-2)
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内容別 必要経費で注意してほしいポイント
必要経費の範囲を具体的に見ていきましょう。上記の法令の他に、必要経費として認められるもの、認められないものの規定があります。
地代家賃は原則必要経費になる
オフィスの賃料は地代家賃として必要経費になります。ただし、同一生計の親族に対する賃料は必要経費として認められません。(所得税法56条)
消耗品は原則必要経費になる
10万円未満の文具、消耗品、機材などは仕事に必要なものであれば消耗品などの科目で必要経費に計上できます。
ただし10万円以上のものについては固定資産に該当し、原則として減価償却を通じて毎年の必要経費に計上されていきます。(所得税法49条)
修繕費は原則必要経費になる
事業用の車や施設の修繕にかかった費用は修繕費として必要経費に算入できます。
ただし修繕のなかでも資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出は新たな固定資産の取得とみなされ(資本的支出といいます)、修繕費とは区別されます。この資本的支出に該当する部分は他の固定資産のように減価償却を通じて必要経費に算入されることになります。
(所得税法施行令127条)
反則金は必要経費にならない
交通違反の反則金については必要経費にはなりません。(所得税法45条)
税金は一部必要経費になる
税金のうち、個人事業税や印紙は必要経費になります。
住民税、所得税は必要経費にはなりません。(所得税法45条)
生命保険料は必要経費にならない
事業者が自分や配偶者にかける生命保険料や私的年金の支払などは必要経費となりません。
ただし確定申告の際に生命保険料控除として上限つきで所得控除が受けられます。
社会保険料は必要経費にならない
国民健康保険料や国民年金などの社会保険料は必要経費となりません。
ただし確定申告の際に社会保険料控除として全額所得控除が受けられます。
その他の保険料
その他の保険料については事業との関連で考えます。
例えば自宅の火災保険料は必要経費とはなりませんが、事務所や店舗の火災保険料は必要経費として認められます。
自宅兼店舗に対する火災保険であれは、自宅と店舗の床面積の割合などで必要経費となる部分を計算します。
帳簿の作成・確定申告は会計ソフトを使うと楽!
ここまで経費の区分をお話ししてきましたが、経費の入力は会計ソフトを使うと楽です。通帳やクレカとの連動などで入力がとっても楽。事務作業を少なくして本業に集中しやすくなります。
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その他の個人事業主の節税方法
今回の記事は以上となります。
ここでは紹介しきれなかった個人事業主の節税方法についてはこちらで紹介しています。併せて検討してみると良いかと思います。
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