法人・個人両方において、雇っている従業員に商品や製品を社員割引といった形で安く販売することがあると思います。
いくらに設定するのが望ましいのか、確認していきましょう。
従業員に安くしすぎると給与に!
従業員に値引き販売する場合、値引き販売で社員が得した部分が大きいと、その値引きした部分が給与とされることがあります。
例えば1万円の商品を従業員に6千円で売っていた場合、4千円の給与があったということで、その分の所得税の源泉徴収漏れを指摘されてしまいます。
従業員へ値引き販売するときは次の①~③のすべてを満たすと、適切な値引き販売となります(給与とはなりません)。
- 値引販売をした価格が原価以上で、かつ、通常販売の価格のおおむね70%以上であること。
- 従業員がみな同じ値引率で販売されている。値引き率を人によって変えるときは地位や勤続年数等に応じて常識的なバランスの範囲内にする。
- 値引販売をする商品等の数は、家庭で普通に使う程度の数であること。
特に大事なのは①です。
従業員への販売額が原価(商品であれば仕入値、製品であれば材料費や労務費の合計)以上であること、通常の価格の70%以上であることを両方満たす必要があります。
例えば、仕入値と社員との販売価格のバランスを次のようにすれば、給与課税されないことになります。
原価(仕入値) | 通常の販売価格 | 社員への販売価格 |
---|---|---|
500円 | 1,000円 | 700円以上 |
600円 | 1,000円 | 700円以上 |
700円 | 1,000円 | 700円以上 |
800円 | 1,000円 | 800円以上 |
900円 | 1,000円 | 900円以上 |
また③「値引販売をする商品等の数は、自分の家庭で普通に使う程度の数」とは、従業員が商品などを安く手に入れて転売することを暗に禁じています。
転売を許す雇用主はいないと思いますが、特定の仕入れ量が不自然に増えていないかはチェックしておきましょう。
(法令の根拠:所得税法基本通達36-23、36-38の2、消費税法4、28、消費税法基本通達10-1-1、10-1-2、10-1-18)
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